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欲情三分間〜ヨクジョウサンプンマ〜
第2章 ☆☆☆☆☆☆☆☆
『あーもうっ』
美咲【みさき】はつい声を荒げた。
自販機の周りに居た数人の学生がチラッと美咲を見る。
その視線にハッとして、
美咲は白衣のポケットから小銭を取り出した。
花川美咲【はなかわみさき】は38歳。
F大学の非常勤講師をしている。
元もとはノンフィクションライターで、
日本国内の〔隠れた闇〕をルポタージュ的に訴える行動派だった。
怒りの根源は、
今年11歳になった1人娘・希【のぞみ】だ。
小学5年の希は、
マセている。
幼稚園辺りから「カレシがね~」と言い始めた。
ぎょっとしたものである。
美咲の世代は幼稚園や小学校でマセるのは極々一部の子どもだけだったから、
ヒヤヒヤした。
1週間前から『ブランド物がほしい』と言って聞かないのだ。憧れのモデルが「使いやすいよ♪」と謳っているらしい。
化粧品も沢山持っている。
薄くメイクをして登校するのだ。
担任から注意は受けないものの、
母親としては気持ちの良いものではない。
せめて高校生からでしょうと叱るが、
全く聞かない。
『………っとにもう。
あんなにマセてどうするのかしら』
ブラックコーヒーを手にすると、
美咲は学生食堂の隅に腰かけた。
美咲【みさき】はつい声を荒げた。
自販機の周りに居た数人の学生がチラッと美咲を見る。
その視線にハッとして、
美咲は白衣のポケットから小銭を取り出した。
花川美咲【はなかわみさき】は38歳。
F大学の非常勤講師をしている。
元もとはノンフィクションライターで、
日本国内の〔隠れた闇〕をルポタージュ的に訴える行動派だった。
怒りの根源は、
今年11歳になった1人娘・希【のぞみ】だ。
小学5年の希は、
マセている。
幼稚園辺りから「カレシがね~」と言い始めた。
ぎょっとしたものである。
美咲の世代は幼稚園や小学校でマセるのは極々一部の子どもだけだったから、
ヒヤヒヤした。
1週間前から『ブランド物がほしい』と言って聞かないのだ。憧れのモデルが「使いやすいよ♪」と謳っているらしい。
化粧品も沢山持っている。
薄くメイクをして登校するのだ。
担任から注意は受けないものの、
母親としては気持ちの良いものではない。
せめて高校生からでしょうと叱るが、
全く聞かない。
『………っとにもう。
あんなにマセてどうするのかしら』
ブラックコーヒーを手にすると、
美咲は学生食堂の隅に腰かけた。