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欲情三分間〜ヨクジョウサンプンマ〜
第2章 ☆☆☆☆☆☆☆☆
『だからね、
柳【やなぎ】さん…………』

流体物理学の研究室の手前廊下に戻ると、
教授が何やら熱弁していた。



柳というのは確か女子生徒だ。



「こないだもそう言ってたじゃない!
私だって我慢してるのにー」
甘い鼻声は柳。


美咲はドアの手前で止まる。



片付けは殆ど終わり、
後はゴミ出しのみ。
学生たちも皆バイトだ合コンだと帰って行った。



聞き耳を立てる趣味はないけつい息を潜めた。




プライベートな話題な気がした。
もっと言えば痴話げんか。


教授は40代の男性だ。

美咲より少し上。


(ははーん、これは………)


十中八九教授が女子生徒に手を出したのだろう。


よくあるのだ。
女子生徒は憧れを持ち教授に師事している部分がある。
飛び抜けて可愛い子だっていて、
教授も言いよられたら据え膳食うのは自然な流れ。
既婚者なのだが、
美咲には他人事である。



「あれ、出来てますよね」
背後で声がして、
肩がビクッとした。




田中である。
(あなた何してるのっ)


(えー、先生が相手してくんないから尾行した)

あっけらかんと言う。



『誰か居るのか?』
ドアが開いた。


瞬間的に美咲と田中は廊下横にある物置スペースに入る。




「ちょっとぉ、逃げないでよ!」

『逃げてないだろう。
誰か聞いてたらどうするんだ』

教授と女子生徒は再び研究室に戻る。






『……………………………』
美咲はというと、
缶コーヒーを溢さぬよう必死だ。



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