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欲情三分間〜ヨクジョウサンプンマ〜
第2章 ☆☆☆☆☆☆☆☆
(先生、足痛い………)
田中が囁いた。


足元を見ると踵で田中の靴を踏んづけていた。


(あら、ごめんなさい)



(だから缶コーヒー捨てとくよっつったのに)



(もったいないでしょうが)


(撒けてるよ?
あーあ、シミになっちゃって……)


(は?
あっ…………はあ~~~。撒けちゃったか)
胸元を見ると襟ぐりの深いブルーのシフォン素材の服に茶色いシミが出来ている。
(後でクリーニングだわね)




(んで何で出ないの?ここから)
田中が首を傾げる。



(う…………
な、なんとなく出づらいわよ。
足音立てちゃうし)



この棟は古い。


さすがに木造じゃないけれど、
研究室と横並びの物置は何年前の資料か不明なプリントばかり重ねてある。


壊れた机やら、
パイプ椅子もあった。



別の棟は全て新築だ。
きょうび、お洒落でスタイリッシュな建物じゃないと学生は来ないのだ。




(田中くん、先にでなさいな。
後に続くから)


(えー、何でよ?ずりぃ笑)



押し問答をしていると、
研究室からガタン!と大きな音がした。


美咲と田中は顔を見合わせる。


美咲の頭に浮かんだのは、
ケンカだ。


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