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第5章 そのご

雑誌のインタビュー&写真撮影。


――おしゃれ意識高い系・働く30代女性向け雑誌の編集者がニコニコ微笑みながら、真向かいに座る翔汰と、
その横に居る拓矢に頭を下げ挨拶する。


『よろしくお願いしますね。
インタビューさせていただきます〔Hot Lips〕
の三井【ミツイ】と申します』



ユルいウェーブのロングヘアーをバレッタで纏め、
丸メガネに紺のジャケット・
ロングTシャツに白いボトムス。
黄色いヒールを履いた編集者の三井さんは〔お洒落でオトナな編集者〕そのもので落ち着いた雰囲気だ。




『aijiの翔汰です。
本日はよろしくお願いします』
『同じく拓矢です。
よろしくお願いします』

立ち上がり頭を下げる。



着席し、
インタビューが始まった。

『今回は当雑誌初登場ということで、
先ずは一般読者が感じると思うんですが…
〔ゲイカップル（厳密にはバイ）〕を公表することに抵抗はありませんでした？』



翔汰が口を開く。
『………少しありました。躊躇というか。
マイノリティだし一般的には受け入れ難いと思って』


三井が拓矢のほうを見て『拓矢さんは？』
と訊ねる。


『僕もありましたね。
けど、楽にはなりましたよ』


『――隠してるとしんどい？』


『ですね。
恥ずかしい・自分たちは普通じゃない・
世間が受け入れてくれない………
そう思ってましたけど、
それって僕らの意志とは関係がない。
世間がどう感じるかは世間のものであって、
僕らの愛情に何ら変わりないと思いました』



翔汰はドキッとした。


（よくスラスラ嘘が出てくるよなぁ……）
と思いつつ、
〔僕らの愛情に何ら変わりない〕という台詞が胸に小石を投げてきた。


ドキドキ胸が鳴る。


『―――断言するのは揺るぎない決意があるからですね？
読者からは〔本当にカップル？〕という疑念も出ると思いますが？』