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イカせ屋稼業
第5章 そのご
―――5528号室。

社長の名前で予約した、
広いホテル。

ビジネスにもファミリーにもカップルにも使える、
比較的こじんまりしたアットホームな雰囲気だ。


部屋に入ると、ダブルベッドが2つ。
バストイレ、備え付けの冷蔵庫。


全体がブラウンで統一されていた。



甲斐が、
『社長よりメッセージ。
〔敏腕のあのヒトが撮影スタッフでーす。
衣装は甲斐が用意するわ。メイクは今日は無し。
雑誌インタビューで軽く叩いたでしょ?
リップだけ塗るようにね♪設定なし、カップルらしくイチャイチャしなさい。
頑張ってね〜〕
だとさ。

はい、これ衣装。
着替えてソファーに座って待機して』



そう言うと甲斐は部屋を出て行った。


『敏腕のあのヒト………?』


『着替えようぜ、さきに』

『あ、そうだな…
普段着じゃん!しかも何ペアルック??』


『…………へぇ………』


半袖Tシャツ・デニムのラフなスタイル。
翔汰はオレンジ色のTシャツ。
拓矢は淡いグリーンのTシャツだった。
胸辺りに同じ写真プリント。


『あれみたいだね、
女子高生がやってる双子ファッション』


『だね』


待機して、かぁ…

ソファーに座る2人。
『なぁ拓矢?
すずちゃんと付き合うならどうしたらいいかなぁ』


『…………
自分で考えろ。』

『アドバイスくらいくれよー。
向こうもAV女優じゃん?
分かる部分もあるし、
複雑なんだよなー』


『………相手に訊けよ』


『そりゃそうだけど。
まぁすずちゃんが〔付き合いたくない〕って思ってるかもしんないしな……………いっ!』
グイッと首を掴まれた。

拓矢の唇が、
翔汰の唇に重なる。

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