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イカせ屋稼業
第7章 そのなな
『はは、何今頃。
嫌になった?』


『………うん。
ちょっと』


『え』
拓矢のスプーンを持つ手が止まる。


『いや、
ウチさぁ……実家のことね。
ミサコ(母)のお金戻ってきたしなぁと思って』





『……………やめるの?』


『辞めたいとか無いんだけどね。
こーゆー仕事する〔強い理由〕が無くなったなぁと思った』


カチャン、
と空の容器にスプーンを置く拓矢。

『………そうか。
そうだよね。
翔汰は実家と彩夏ちゃんのためにしてるんだもんね』

『うーん。
何かなぁ。身内から「そんな仕事やめたら」って言われちゃあモチベーションも下がっ………………………』


―――拓矢が、
仰向けの翔汰の顔に顔を寄せて口づけた。

『ぶ………ぶぅっ………』拓矢の両手が翔汰の腕を押さえつける。

何すんだよ、
と言いたいのに塞がれて言葉にならない。


脚で拓矢の腹を蹴る。

びくともしない…………





翔汰は人間の指先でおしつぶされた蜘蛛のようにジタバタした。
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