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イカせ屋稼業
第8章 そのはち
『うん。
明るくなったかもね』


『否定しろよ……
はー。
久しぶりにしたら気持ちいーね』


ハンドタオルで汗を拭いながら今度は翔汰が床に座る。


拓矢は交代とばかりに再びランニングマシンで走り始めた。。



30分経ちトレーニングを終え、ふたりはシャワーを浴びてジムを出る。

『あ〜暑いな……』

『この日差しの下でマスク+帽子はキツいよね…』
拓矢が太陽を見上げた。
目を細める。
『かけとこう』
スチャッとサングラスをかけてマスクを外した。


『お前無駄に用意いいな……
俺もサングラス常備しなきゃなぁ』


並んで話しながら足は最寄り駅へ向かう。
次の仕事へ赴くのだ。



『――あ。
ちょっと待ってて拓矢』


翔汰は移動販売のパン屋に走る。

塩クロワッサンを2つ買い、
拓矢に駆け寄り手渡す。



『ん?
あ、美味い』
食べ歩く。


『でしょ。
こないだネットニュースに出てたから』



街は夏の熱に浮かれたように、
人で溢れ返っている。


ふたりが歩くと「あのー、タレントさんですよね?」「お名前何て言うんですか?」と女性が寄ってくる。



かわしつつ、
駅ロータリーの噴水前で甲斐を待つ。


――同居にもすっかり慣れてしまった。

朝は(ほぼ毎日)拓矢を無理やり起こして朝食を食べさせる。。

仕事をし、
帰りはバラバラになったり一緒だったり。

翔汰は薄ぼんやりと(このまま楽しく居れたらいいなー)
と思う。。

拓矢と肩を並べて歩くことが心地よい。

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