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イカせ屋稼業
第8章 そのはち
暗闇のなか、

ふたりは着衣してそーっと布団に戻った。



甲斐の鼾が変わらず室内に響いている。

(………なぁ、拓矢。)


(ん?)
ゴソッと衣擦れの音がした。
拓矢が翔汰に向き直ったのが分かった。


(………そんな前からだったら、
色々傷つけたな。ごめん)


翔汰はさっきの拓矢の「初めて見たときから」
を聞いて、

感動したと同時に坂城すずとの〔恋愛未遂〕を思い出した。



あの頃、拓矢にあけすけに話していた。


(……いいよそんなの…………
俺が勝手に好きになってたんだし)


(でも、無神経に傷つけてたんだろ)
拓矢は傷ついていたのだなと思うと胸がチクリと傷んだ。

(離れないから)

翔汰は小さな声で、
でもキッパリと言う。

(つか、離さない)


拓矢の手が伸びて翔汰の手をまさぐり掴んだ。



拓矢の目には涙が滲んでいた。




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