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イカせ屋稼業
第9章 そのきゅー
『…………はあ〜〜〜…………心配したよ、拓…』

翔汰はベッド脇に腰かけた。


205号は、
日帰り患者用なのかベッドは4つあるのに他の3つは無人だった。


『………俺もびっくりした。
いきなり椅子飛んできたから(笑)』
拓矢が可笑しそうに笑う。

『こら!
………マジで心配したんだからな』
翔汰は拓矢の右頬に手を伸ばしてつねった。

『ひて(いて)っ』


視線が絡む。


翔汰は屈んで、
拓矢のオデコに唇をつけた。チュッと音が響いた。

『………翔だったら、
うまく懐柔したんだろうな』
拓矢が呟く。


『ん?
ああ、篠ユリカって女優のこと?そんな難癖つける人どうこうできないって』



『翔だったらどう諭すかな、どう動くんだろうなって考えて無言で居たら椅子が飛んできたんだ』


『ヘビィだね…』
翔汰は遠回しに褒められた気がして照れくさい。
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