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イカせ屋稼業
第11章 そのじゅう
『KANAMEって本名かなと思って。
芸名なら、
本名が判ればそこから何か尻尾掴めるかなぁと。
それに…………』
拓矢はアヤメを見つめた。

『アヤメちゃん、
本名知られてるよね?』




アヤメはハッと息を飲む。

『……………はい…………
そうだった……………どうしよう?』
顔面蒼白になる。




『学校名や出身地は?』
拓矢が重ねて訊くと、
『それは言ってないです。
専門学校生だとは言っちゃいました………

でも、デザインスクールとは話してません』
と返事があった。




拓矢は椅子に凭れ、
息を吐いた。

『イヤ、アヤメちゃんだけ本名がバレてるなら理不尽でしょ?
もしKANAMEが本名と全く違う芸名だとしたらの話だけど………』







すると甲斐が……………

『おっ?
あった!
KANAMEの素人時代の個人情報!
本名、佐嘉原了………サガハラリョウ』

PCをテーブルに置き、
翔汰と拓矢に見せる。






『ビミョーにもじったのをアヤメちゃんに〔自分の名前〕
って話したワケか………
了って結構いい名前じゃん(笑)』
拓矢がフッと笑った。


『KANAMEはモロ芸名だったんだな。
まぁ、
ウチの事務所くらいだからな。
本名または本名に近い芸名つけてるセクシー男優たちは』
甲斐も苦笑する。
『素人時代の写真から辿って、
本名出たよ』





KANAMEの素人時代の写真____写メらしき画像だった____
は、髪が黒くて大人しそうだ。



ホストっぽい長髪だけれど、
あどけなく嫌味さや冷淡さが全く見えなかった。
可愛さすら感じる、痩せて小柄な少年だ。
目や鼻など基本パーツが変わっていないため、朧気だがKANAMEだと確認できる。


『出身地は…………
どこにも出てないなぁ。
しかし、今のKANAMEとは別人だな』

甲斐が呟く。





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