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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第8章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の弐

あの優しい父が本当の父ではないのだ。残酷すぎる事実が厳然とお彩の前に立ちはだかる。お彩の眼に涙が溢れた。
もう一度父に逢いたい。熱にうなされて眼目ざめた時、父のあの優しい笑顔を見たい。
お彩は泣きながら、いつしか浅い眠りに落ちたようだった。その微睡みの中でお彩は夢を見ていた。
お彩は懸命に走っている。その後を何かが追ってくる。振り返っても、真っ暗な闇が一面にひろがるばかりだ。その闇が次第に化け物の形になって、お彩を呑み込もうとする。牙をむき出した大きな牛のような化け物は幼い頃、お化け屋敷で見た怪物そっくりだった。
父に連れれていったあのお化け屋敷で、お彩はずっと父の後ろにしがみついていた。父はそんなお彩を笑って抱きしめてくれたの゛たった。
―おとっつぁん、助けにきてよ。私、化け物に食われちまう。
もう一度父に逢いたい。熱にうなされて眼目ざめた時、父のあの優しい笑顔を見たい。
お彩は泣きながら、いつしか浅い眠りに落ちたようだった。その微睡みの中でお彩は夢を見ていた。
お彩は懸命に走っている。その後を何かが追ってくる。振り返っても、真っ暗な闇が一面にひろがるばかりだ。その闇が次第に化け物の形になって、お彩を呑み込もうとする。牙をむき出した大きな牛のような化け物は幼い頃、お化け屋敷で見た怪物そっくりだった。
父に連れれていったあのお化け屋敷で、お彩はずっと父の後ろにしがみついていた。父はそんなお彩を笑って抱きしめてくれたの゛たった。
―おとっつぁん、助けにきてよ。私、化け物に食われちまう。

