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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第8章 第三話 【盈月~満ちてゆく月~】 其の弐

人の好いお彩はもうそれだけで、小巻とのあれこれもあっさりと忘れ果てた。「花がすみ」からは今、時折、赤子の元気な声が聞こえてくる。お彩は店が忙しいのも忘れて、まるで甥か弟が生まれたように、いそいそと赤子の顔を見に小巻の部屋にゆくのが日課となった。そんなお彩を小巻も笑顔で眺めている。
小巻の生んだ赤子は七夜の祝に喜六郎によって「敬次郎」と名づけられた。
―いつかまた陽太さんと逢いたい。
小巻の生んだ赤子は七夜の祝に喜六郎によって「敬次郎」と名づけられた。
―いつかまた陽太さんと逢いたい。

