この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第9章 第四話 【ほたる草】 一

この頃になって、たとえ血は繋がってはいなくとも、血の繋がりよりも大切なものがある、それがお彩と伊八が父娘として紡いできた年月なのだと諭してくれた伊勢次の言葉が漸く理解できるようになった。あれから陽太とは一度も逢ってはいないが、お彩は彼を片時たりとも忘れたことはない。陽太の言うように、陽太を想う自分の心に素直であり続けていれば、いつか必ずまた、どこかで逢えると信じている。
それに陽太はお彩の耳許で囁いたのだ。
―お前さんが心から望めば、私はいつでも逢いにくる。私はいつでもお前さんの傍にいるよ。
陽太の逞しい腕に抱きしめられたときの言いようのない胸の高鳴り、深い口づけを交わしたときのめくるめくようなときめきは、お彩にとって心の奥底に大切にしまっている陽太との想い出である。たとえ今は思うように逢えなくても、自分の真摯な気持ちがいつか陽太へと導いてくれるはずだと思うことで、お彩は自分を保っていた。
それに陽太はお彩の耳許で囁いたのだ。
―お前さんが心から望めば、私はいつでも逢いにくる。私はいつでもお前さんの傍にいるよ。
陽太の逞しい腕に抱きしめられたときの言いようのない胸の高鳴り、深い口づけを交わしたときのめくるめくようなときめきは、お彩にとって心の奥底に大切にしまっている陽太との想い出である。たとえ今は思うように逢えなくても、自分の真摯な気持ちがいつか陽太へと導いてくれるはずだと思うことで、お彩は自分を保っていた。

