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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第9章 第四話 【ほたる草】 一

お彩の真の父ともそんなことが縁で知り合い、結果としてお絹は全く無関係な赤の他人のために尽力したことが元で恨みをかい、そのお彩にとっては父親である男に手込めにされることになってしまったという。
自分は母が無理に犯された挙げ句に身籠もった生命だったのだ、―そのことはお彩を大いに傷つけ打ちのめしたが、最後に実の父は当時、お彩を身籠もっていた母お絹を刺客から庇い落命したという。実の父が最後の最後で我が子である自分(お彩)や母を生命を賭けて守り抜いたのだと伊八から知らされ、お彩はそのことに随分と心が慰められた。
母は三十一の若さで流行病(はやりやまい)で逝ってしまったけれど、母が一生かけて咲かせた心の花は今でもお彩や伊八の中で咲き続けている。自分のことよりも他人のことばかりにかまけていた母の生き方を、お彩は今、誇らしく思っている。我が身も母のように心に自分だけの花を咲かせてみたい、そんな風に強く願わずにはおれない。
自分は母が無理に犯された挙げ句に身籠もった生命だったのだ、―そのことはお彩を大いに傷つけ打ちのめしたが、最後に実の父は当時、お彩を身籠もっていた母お絹を刺客から庇い落命したという。実の父が最後の最後で我が子である自分(お彩)や母を生命を賭けて守り抜いたのだと伊八から知らされ、お彩はそのことに随分と心が慰められた。
母は三十一の若さで流行病(はやりやまい)で逝ってしまったけれど、母が一生かけて咲かせた心の花は今でもお彩や伊八の中で咲き続けている。自分のことよりも他人のことばかりにかまけていた母の生き方を、お彩は今、誇らしく思っている。我が身も母のように心に自分だけの花を咲かせてみたい、そんな風に強く願わずにはおれない。

