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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第15章 第六話 【春の雨】 其の弐

伊勢次は唇から流れ出る血を袖で無造作にぬぐうと、立ち上がった。と、次の瞬間、伊勢次の拳が陽太の右頬に炸裂した。今度ばかりは陽太も避けきることができず、まともに当たり、わずかによろめいた。
「俺は前からお前が気に入らなかったんだよ。気取り返った、いけ好かねえ野郎だってな」 伊勢次はその隙を逃さず、続けざまに陽太に蹴りを入れる。陽太はこれは後ろへ飛びすさってかわし、今度は逆に伊勢次の頬に陽太の平手が飛んだ。
「陽太さん、止めて!」
お彩は涙混じりの声で叫んだ。
どうして、こんなことになってしまったのだろう。伊勢次も陽太も、お彩にとっては大切な人なのに、どうして、二人がこんな喧嘩をするようなことになってしまったのか。
「俺は前からお前が気に入らなかったんだよ。気取り返った、いけ好かねえ野郎だってな」 伊勢次はその隙を逃さず、続けざまに陽太に蹴りを入れる。陽太はこれは後ろへ飛びすさってかわし、今度は逆に伊勢次の頬に陽太の平手が飛んだ。
「陽太さん、止めて!」
お彩は涙混じりの声で叫んだ。
どうして、こんなことになってしまったのだろう。伊勢次も陽太も、お彩にとっては大切な人なのに、どうして、二人がこんな喧嘩をするようなことになってしまったのか。

