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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第15章 第六話 【春の雨】 其の弐

「お前のような男がこの世にいる限り、泣く女は減らねえのさ」
伊勢次の言葉に、陽太は不敵な笑みを刻んだ。
「お前にそこまで買われているとは、そいつは光栄だな」
「何だとォ? 手前は俺を馬鹿にしてるのか」
伊勢次はついに堪忍袋の緒を切らしたようで、陽太の左頬に拳骨を喰らわせた。
乾いた音と共に、陽太が勢い余って後ろへ倒れた。お彩の小さな悲鳴が上がった。
だが、陽太も負けてはいない。再び伊勢次の頬に平手を返し、二人はいつしか取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。上になり下になりと派手に殴り合う二人の横で、お彩は大粒の涙を流していた。
―私のせいで、私がいるばっかりに、陽太さんと伊勢次さんがこんなことになってしまった。
伊勢次の言葉に、陽太は不敵な笑みを刻んだ。
「お前にそこまで買われているとは、そいつは光栄だな」
「何だとォ? 手前は俺を馬鹿にしてるのか」
伊勢次はついに堪忍袋の緒を切らしたようで、陽太の左頬に拳骨を喰らわせた。
乾いた音と共に、陽太が勢い余って後ろへ倒れた。お彩の小さな悲鳴が上がった。
だが、陽太も負けてはいない。再び伊勢次の頬に平手を返し、二人はいつしか取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。上になり下になりと派手に殴り合う二人の横で、お彩は大粒の涙を流していた。
―私のせいで、私がいるばっかりに、陽太さんと伊勢次さんがこんなことになってしまった。

