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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱

「それでは、旦那さま。お気をつけて、行ってらっしゃいまし」
男の声が聞こえてきたかと思うと、さるお店の暖簾をかき分けて、長身の主人らしい人物が道に出てきた。続いてそのすぐ背後に丁稚が従う。更に先刻の声の主らしい男が見送りに現れた。
「佐田吉、旦那さまのおっしゃることをよくく聞いて、粗相のないようにするんだよ」
「はい」
まだ十そこそこの少年が緊張した様子で畏まる。丁稚を従えた主人はかなりの長身で、父伊八よりは更に身の丈がありそうだ。お彩のいる場所からは距離があるゆえ、その連中の顔までは判じ得ない。が、その主人が何かの拍子にこちらへ顔を向けた。その刹那、お彩は心ノ臓の鼓動がはね上がりそうになった。
男の声が聞こえてきたかと思うと、さるお店の暖簾をかき分けて、長身の主人らしい人物が道に出てきた。続いてそのすぐ背後に丁稚が従う。更に先刻の声の主らしい男が見送りに現れた。
「佐田吉、旦那さまのおっしゃることをよくく聞いて、粗相のないようにするんだよ」
「はい」
まだ十そこそこの少年が緊張した様子で畏まる。丁稚を従えた主人はかなりの長身で、父伊八よりは更に身の丈がありそうだ。お彩のいる場所からは距離があるゆえ、その連中の顔までは判じ得ない。が、その主人が何かの拍子にこちらへ顔を向けた。その刹那、お彩は心ノ臓の鼓動がはね上がりそうになった。

