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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱

「これは親の欲目、単なる親馬鹿だろうが、お前は気立ても良いし器量も十人並み以上だ。お前ほどの娘なら、その気になりゃあ、良い縁付き先がごまんとあるはずだぜ。もし、お前の言うとおり、本当に言い交わした男がいねえというのなら、俺は父親としてお前の縁付き先を探すつもりだ」
父の言葉に、お彩は眼をむいた。
「要らないわ。そんなの要らない。私は良いの。どこにもお嫁になんか、いかないんだから。ずっと、おとっつぁんの傍にいるのよ」
「馬鹿野郎。いつまでもそんな訊きのけのねえガキのようなことを言うもんじゃねえ。俺は、おっかさんの、お絹の分までお前の幸せを見届けなきゃいけねえんだよ。お前が幸せになれなかったら、俺はそれこそ、あの世にいったときに、おっかさんにどうやって言い訳すりゃあ良いんだ? お前がいつまでもたった一人でいると思やあ、俺は死のうに死に切れねえよ」
父の言葉に、お彩は眼をむいた。
「要らないわ。そんなの要らない。私は良いの。どこにもお嫁になんか、いかないんだから。ずっと、おとっつぁんの傍にいるのよ」
「馬鹿野郎。いつまでもそんな訊きのけのねえガキのようなことを言うもんじゃねえ。俺は、おっかさんの、お絹の分までお前の幸せを見届けなきゃいけねえんだよ。お前が幸せになれなかったら、俺はそれこそ、あの世にいったときに、おっかさんにどうやって言い訳すりゃあ良いんだ? お前がいつまでもたった一人でいると思やあ、俺は死のうに死に切れねえよ」

