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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第16章 第七話 【雪花】 其の壱

伊八が振り絞るように言った。
「―おとつぁん」
お彩は何も言うことができなくて、唇を噛みしめた。
「私には好きな男(ひと)がいるのは本当よ。でも、それ以上は言えない。今は、まだ何も言えないの。おっかさんの分まで私のことを心配してくれるっていう、おとっつぁんの気持ちは嬉しいし、ありがたいと思うけど、本当に今はそれ以上のことは言えないの」
「何を水臭えことを言うんだよ。お彩、それじゃあ、一つ訊くが、お前の惚れた男というのは、容易くはいかねえ相手なんだと、そう思っても良いのか」
伊八の真摯なまなざしに、お彩は何も言えなかった。ただ、溢れる涙の滲んだ眼で父を見つめていた。
「―おとつぁん」
お彩は何も言うことができなくて、唇を噛みしめた。
「私には好きな男(ひと)がいるのは本当よ。でも、それ以上は言えない。今は、まだ何も言えないの。おっかさんの分まで私のことを心配してくれるっていう、おとっつぁんの気持ちは嬉しいし、ありがたいと思うけど、本当に今はそれ以上のことは言えないの」
「何を水臭えことを言うんだよ。お彩、それじゃあ、一つ訊くが、お前の惚れた男というのは、容易くはいかねえ相手なんだと、そう思っても良いのか」
伊八の真摯なまなざしに、お彩は何も言えなかった。ただ、溢れる涙の滲んだ眼で父を見つめていた。

