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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参

見知らぬ男に手込めにされ、その子を身籠もったと知った底なしの絶望からも這い上がり、見事に自分だけの花を開かせた。母は今も昔もお彩の憧れの女性だと、胸を張って言える。ただ、自分は母のようには到底なれそうにもない。お彩は今日ほどそう感じたことはなかった。
陽太に別離を切り出しながらも、いまだにその想いに縋りついている自分。いっそのこと、あんな男のことなぞさっさと忘れて、父の言うように別の男と所帯を持てば良いのだ。それが判っていながら、ぐずぐずと報われぬ恋にしがみついている。そんな情けない自分が母のように凛とした生き方ができるはずもない。
長い石段の中ほどまで降りてきた時、物想いに沈んでいたお彩はハッと我に返った。
陽太に別離を切り出しながらも、いまだにその想いに縋りついている自分。いっそのこと、あんな男のことなぞさっさと忘れて、父の言うように別の男と所帯を持てば良いのだ。それが判っていながら、ぐずぐずと報われぬ恋にしがみついている。そんな情けない自分が母のように凛とした生き方ができるはずもない。
長い石段の中ほどまで降りてきた時、物想いに沈んでいたお彩はハッと我に返った。

