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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参

「お絹さんが伊八さんと所帯を持って、お前さんが生まれたのは、私が奉公に出て甚平店からいなくなった後のことだ」
「奉公―」
その言葉に、お彩の中で閃くものがあった。
「陽太さんは京屋さんに奉公に出たんですね」
刹那、陽太が愕きに満ちた眼でお彩を見た。
「お前さんは、どうしてそれを」
知っているのかと問いたかったのだろう。だが、お彩は皆まで言わせなかった。
「私、見たんです」
怪訝な顔の陽太に、お彩は一気に言った。
「十日ほど前のことでした。町人町の古着屋までおとっつぁんの半纏を買いにいったんです。今年の冬は滅法寒くなるって話だったから―。その時、偶然、京屋から出てくるあなたを見ました。番頭さんや手代に囲まれたあなたを見た時、私は信じられなかった。
「奉公―」
その言葉に、お彩の中で閃くものがあった。
「陽太さんは京屋さんに奉公に出たんですね」
刹那、陽太が愕きに満ちた眼でお彩を見た。
「お前さんは、どうしてそれを」
知っているのかと問いたかったのだろう。だが、お彩は皆まで言わせなかった。
「私、見たんです」
怪訝な顔の陽太に、お彩は一気に言った。
「十日ほど前のことでした。町人町の古着屋までおとっつぁんの半纏を買いにいったんです。今年の冬は滅法寒くなるって話だったから―。その時、偶然、京屋から出てくるあなたを見ました。番頭さんや手代に囲まれたあなたを見た時、私は信じられなかった。

