この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参

だって、ずっと私から素性を隠し続けてきたあなたが、実はこんなにも近くにいて、しかも大店の旦那さまだったなんて考えてもみなかったもの」
陽太から、しばらく応えはなかった。
気まずい沈黙が二人の間に横たわった。
「それで、お前さんは私にもう逢わないと言ったのか?」
先にそれを破ったのは陽太の方だった。
お彩は、「ええ」と、はっきりと応えた。
「あなたは私とは住む世界が違う。あなたは、私からは遠い場所に住むお人だもの。お互いのために、これ以上逢わない方が良いと思ったんです」
「一つだけ訊かせちゃくれねえか。お前さんは、私と心から別れたいと思っているのか」
陽太の美しい貌が真っすぐにこちらを見つめている。お彩は自分の本当の気持ちを知られるのを怖れるかのように、眼を伏せた。
陽太から、しばらく応えはなかった。
気まずい沈黙が二人の間に横たわった。
「それで、お前さんは私にもう逢わないと言ったのか?」
先にそれを破ったのは陽太の方だった。
お彩は、「ええ」と、はっきりと応えた。
「あなたは私とは住む世界が違う。あなたは、私からは遠い場所に住むお人だもの。お互いのために、これ以上逢わない方が良いと思ったんです」
「一つだけ訊かせちゃくれねえか。お前さんは、私と心から別れたいと思っているのか」
陽太の美しい貌が真っすぐにこちらを見つめている。お彩は自分の本当の気持ちを知られるのを怖れるかのように、眼を伏せた。

