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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第18章 第七話 【雪花】 其の参

「―本当にもう逢いたくねえと思ってるのか」
お彩は眼を閉じたまま言った。
「ええ、そのとおりよ。私は、あなたになんか二度と逢いたくなんかないの。棲む世界の違う人を好きになったら、不幸になるのは判っていますから」
だが、言葉に相反して、涙が頬をすべり落ちてゆくのをお彩は止めることができなかった。突如として乱暴に引き寄せられ、抱きしめられた。
「もし、私がいやだと言ったら?」
陽太の吐息混じりの囁きが耳朶をくすぐる。愕いて陽太を見上げるお彩に、陽太が微笑んだ。
「私と心底から逢いたくないと思っているのなら、何故、お前さんは泣く?」
陽太の端整な顔が一瞬近づいて、さっと離れていった。その唇が束の間お彩の頬をかすめ、頬に流れ落ちる涙の粒を吸った。
お彩は眼を閉じたまま言った。
「ええ、そのとおりよ。私は、あなたになんか二度と逢いたくなんかないの。棲む世界の違う人を好きになったら、不幸になるのは判っていますから」
だが、言葉に相反して、涙が頬をすべり落ちてゆくのをお彩は止めることができなかった。突如として乱暴に引き寄せられ、抱きしめられた。
「もし、私がいやだと言ったら?」
陽太の吐息混じりの囁きが耳朶をくすぐる。愕いて陽太を見上げるお彩に、陽太が微笑んだ。
「私と心底から逢いたくないと思っているのなら、何故、お前さんは泣く?」
陽太の端整な顔が一瞬近づいて、さっと離れていった。その唇が束の間お彩の頬をかすめ、頬に流れ落ちる涙の粒を吸った。

