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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第20章 第八話 【椿の宿】 其の弐

だが、そんな風に思うのは所詮、お彩の身勝手な思い込みだろう。伊勢次は求婚をしてから、実に一年もの間、お彩の返事を待ち続けたのだ。なのに、お彩はその間、はきとした返事もせずに、曖昧なままの関係を続けた。
ひとえに、何でも打ち明け相談のできる伊勢次という存在を失いたくなかったからだけれど、それは、あまりにも過ぎた我がままだった。
今、一年ぶりに伊勢次を眼の前にして、お彩は何と言って良いのか、どんな表情をして良いのかも判らない。話したいことは山ほどあるのに、何から話せば良いのか、いや、言いたいことの一つも言葉にできないもどかしさがあった。
ひとえに、何でも打ち明け相談のできる伊勢次という存在を失いたくなかったからだけれど、それは、あまりにも過ぎた我がままだった。
今、一年ぶりに伊勢次を眼の前にして、お彩は何と言って良いのか、どんな表情をして良いのかも判らない。話したいことは山ほどあるのに、何から話せば良いのか、いや、言いたいことの一つも言葉にできないもどかしさがあった。

