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隣の日常
第4章 隣の日常
 ちょうど上の子が生まれたすぐあとだったかな。



 職場の事務のバイトに手ぇ出したんだ、俺。
 19歳の、すんげぇ可愛い子だった。
 処女じゃなかったんだけど、もうな、すんげぇ照れ屋でさ。
 最初なんて、電気絶対点けさせてくれなかったんだ。
 それが最後のほうじゃ、会社のトイレで立ちバックさせてくれるような女になったんだ。
 俺ってなんなんだろうなぁ、人の長所を引き出すのが上手いのかな?


 あの女は金にはならなかったけど、でも、俺ら2人の収入合わせたら、子供つくらなきゃなんとか生活していけるかなって思えた。
 料理も上手でさぁ、すんげぇ可愛いのに、ぜんぜん金を使わなくってさ。
 一人暮らししてるアイツの家に入り浸って2人で過ごしてると、嫁のことも、生まれたばっかの子供のことも、なにもかもどうでもよく思えた。



 離婚してコイツと一緒になろうかなって、あの頃はまじで思ってた。
 だって、何の取り得も甲斐性もない俺に心底惚れてたんだぜ、アイツ。
 嫁と離婚しても俺にデメリットはなんもないわけじゃん。


 でもさぁ。
 なんつうかなぁ。
 毎日毎日健気に俺のためにメシつくってさぁ、ヤるだけヤッたら家に帰ってく俺を許すアイツ見てたらさ、だんだん腹が立ってきてさぁ。



 ・・・あ、ここ左折でよかったよな?
 中環で●●のほう行くんだよな?



 ・・・嫁もさ、俺がどんだけ金と女にだらしなくってもさ、なんも言わずに・・・今でも、そうだよ。
 家で、俺の帰りを待ってるわけ。
 俺が酔っ払って帰って、なんか無意味に欲情して、寝てる嫁を叩き起こしてぶち込んでも、なんも言わないわけ。
 まぁ、そりゃそうだよな。嫁は俺といることでメリットがあるわけで、俺を失ったら多大な損害があんだから。 

 
 だから嫁は俺にどんだけ殴られてもさ、めっちゃくちゃひどい仕打ちうけてもさ、いっつも黙っていー嫁さんのツラしてんの。


 だんだん、アイツと嫁がだぶって見えてきてさ。
 自分勝手な話なんだけど。

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