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隣の日常
第2章 下着泥棒
「おれ、女の下着が好きでさ」って言ったんだ。
 爽やかな立川の端正な顔に、なんとも言えない気味の悪い笑みが浮んでた。
 俺なんとなく嫌な予感がして、「へぇ」とだけ答えてやり過ごそうとしたんだ。
 けど立川はな、


「女の下着見たらいてもたってもいられなくなるんだ。
 チンポが疼くっていうかさぁ。
 白地にフリルとかついてるようなの。
 ああいうちっちゃいパンティーがさ、見も知らない他人が住んでるベランダで揺れてるのをみたら、どうしても欲しくなっちゃうんだ」



 こんな風に、一方的に俺に話をはじめたんだ。
 


「アパートの1階や2階くらいなら楽勝だよ。
 そっと柵によじ登れば、簡単にベランダに侵入できる。
 ピンチにぶら下がってるパンティーを手にとるとさ、頭の中で≪下着泥棒になるぞ!見つかったら人生アウトだぞ!≫って聞こえるんだ。
 けど、チンポが疼いて疼いて、たまんなくてさ。
 ハッと気付いたらいつもの帰り道を猛スピードでチャリこいでて、息が上がってて、膨らんだズボンのポケットの中にはパンティーが入ってるってワケ。
 なぁ、おまえ、こういう興奮、したことあるか?」



 なんの作業してたのか覚えてないんだけど、夕方の西日がきつく俺らに差し込んでたのは覚えてる。
 秋口だったはずなんだ。瞳をきらきら輝かせて俺に話を続ける立川の額には汗が浮んでたよ。



「学校から帰ってすぐ部屋で制服からトランクスまで全部脱いでさ。
 それから、盗んできたパンティーを穿く。
 揃えのブラジャーも手に入ったときは、上下な。
 全身鏡の前に立って、女物の下着に身を包んだ自分をしばらくのあいだ、じっくり観察してみたりもする。
 ちっちゃいパンティーがキチキチに尻に食い込んで、ブラジャーのカップはパコパコ。
 けど、股間のとこだけがもっこり張り出して、あんまりサイズが小さすぎるときは、亀頭がはみ出したりもする。
 そのままオレは上から服を着て、お母さんから弁当を受け取って塾へ行く。
 知らない女の下着をつけて生活するのがどういう感覚かっていうとな、まるでレイプしてるみたいな感覚だよ。
 ちっちゃいパンティーにオレの身体を無理矢理ねじこんでんだからな」



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