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闇夜の仕置人
第1章 浅田 涼子
自然に涙が溢れ、震える涼子の肩に、女は優しく手を添えた。
体感的にはひんやりした手だが、涼子は体の中から暖かい何かが、拡がっていくのを感じた。
『私の名は、レイカ』
レイカが優しく微笑むと、涼子の心の重石が軽くなる気がした。
『貴女が死ぬことはないわ。
だって、悪いのは全てあの男でしょう?』
レイカが両手で鎌を構えると、その姿に涼子はレイカが死神であると確信した。
『私が、殺してきてあげる』
一瞬、ふわりと浮いたかと思うと、レイカは消えてしまった。
カーテンは閉まっており、涼子は夢を見ていたのかと疑った。
だが、肩には僅かながらレイカが触れた感触が残っている。
あの人は信じられる…
何の確信も無いまま、涼子は素直にそう思えた。