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闇夜の仕置人
第1章 浅田 涼子
まず、涼子が息を飲んだのが、その女の美しさだった。
長く艶やかな黒髪は柔らかなウェーブを持ち
体にフィットした黒のロングドレスは前に深いスリットが入っていて、長く綺麗な足が露になっている。
少しつり目な大きな瞳は、形のいい鼻と唇と相まって妖艷な美の女神の様だ。
女性でも心を奪われる様な、美しさだった。
だが右手に持つ大きな鎌を見て、涼子は死神が迎えに来たのかと思った。
恐怖はなく、むしろ涼子にはその方が有り難かった。
『ねぇ、何故貴女が死ななくてはならないの?』
容貌に相応しい、美しい声が問いかける。
ふんわり夢心地だった涼子の心に、チクリと氷の針が刺さった。
「だって…私…あんなことされて…」
生きていけない…最後の言葉は声にならなかった。