この作品は18歳未満閲覧禁止です
その恋を残して
第5章 それは、おとぎ話だ
そう訊かれるた俺は、誠二さんの目を真っ直ぐに見て、こう答える。
「今は……信じています」
すると――
「ハッハッハ!」
誠二さんは、突如として高らかに笑った。
「なにか、可笑しかったですか?」
俺が怪訝そうに見つめると――
「いいや――失礼」
誠二さんは笑いを押さえてから、今度は厳しい顔を俺に向ける。
「そう、松名くんは信じたのか。でもね……それは、おとぎ話だ」
「おとぎ話……?」
意味もわからずに、俺はその言葉を繰り返した。