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その恋を残して
第6章 怜未は、ここにいるよ
「放課後、体育館裏に来い。いいか、逃げるんじゃねえぞ」
そう言って去って行ったのは、内田。そう先週、怜未(奴からすれば蒼空であろうが)に言いよってきたサッカー部の男だった。
俺は内田の背中を、見送りつつ思う。何か厄介事になりそうだな。そんな暇はないのだけれども。
しかし、これも――
「イベント発生……」
果たしてそうなるので、あろうか? 否――どう考えても違う気はするが……。
「どうかしたか?」
パンを買い終えた田口が、俺に駆け寄る。
「いや……大した事じゃない」
そう答えた俺を――
「そう?」
田口は、何気なく眺めていた。