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その恋を残して
第6章 怜未は、ここにいるよ
そう言ってしまい。そして、現在の俺と同じく、そいつらにボコボコに殴られた訳だ。
息巻いたことを言った割には、一矢を報いることもせずに、亀のように身体を縮めつつ、俺は時が過ぎるのをひたすらに待っていたっけ――。
何だ――結局、今と同じか。
どうやら、俺はケンカには向いてないらしい。妙に正義感が強い一面もあるが、自分の覚えた怒りを拳で現すことには、二の足を踏んでしまうのだ。
だから、今も反撃をする訳でもなく堪えるだけ。何――打たれ強さは自身がある。何れ奴らも飽きる筈だ。
あの時は、どうやって終わったんだろ?
確か、見るに見かねた女子が先生を呼びに行ってくれて――駆け付けた先生は、えらい剣幕で全員を怒鳴り散らしたよな。
それが、きっかけで、俺をハブるゲームも終わった。でも、その後も俺はスッキリとはしなかったな。
その時のクラスの連中とは、今はもう会っていない。それが、答えだ。俺は、あの時のことに心のどこかで納得をしていない。
だったら、今は――このままでいいのか?
『松名くん!』
俺は、ボンヤリとした意識の中で、その声を聴く。