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その恋を残して
第6章 怜未は、ここにいるよ
「田口――お前?」
それはユニフォーム姿の田口だった。
「こっちはいいから早く行け。彼女のピンチだぜ」
田口はニッと笑う。
「ああ……そうだな」
そう言って、俺は怜未と内田の方へ視線を変えた。
「あんなダセえ奴やめてさ。俺の彼女になりなって」
そう迫る内田に、怜美は俯いたまま顔を横に振る。
「なんで? 俺って、かなりモテるんだぜ。付き合いたい女子なんて山のようにいるのに。その俺が、キミを選んでいるだけど」
自信満々にそう宣う内田に対して――
「私には、誰とも付き合う資格なんかない……」
怜未のその言葉は、ただ寂しげに響いていた。
「なに、ソレ?」
その真意を理解できる筈のない内田は苛立ちを顔に浮かべながら、怜未に触れんとして再びそう手を伸ばそうとした。
パシィ――!