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その恋を残して
第6章 怜未は、ここにいるよ

 怜未が、内田の手を払う。

「このォ……」

 内田は顔に怒りを滲ませると、怜未の方ににじり寄って行った。

 俺はその無礼な男の肩を、ガッと強く掴む。

「――!」

 内田は、その目に凶悪さを宿し、俺を見据えた。

 そして――

「邪魔すんじゃねえよっ!」

 振り向き様に、右拳を全力で俺に向けて振るう。

 ゴッ――!

 そのパンチを――俺は動かずに顔面で受け止めていた。そして、身じろぎもせずに、内田を睨みつけ――言う。


「二度と、怜未に――近づくなっ!」


 ガツン――!


 怒りを込めて身体ごとぶつけるように放った右拳が、内田を体育館の外壁まで吹っ飛ばしていた。


「ううっ……」

 うめき声と共に、内田は壁に背を預けたまま、ズルズルと崩れ落ちていた。

 その後、しばし見つめ合う俺と怜未だったが――

「……」

 何かの想いを振り払うようにして、怜未はそっと顔を背けている。

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