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その恋を残して
第7章 眠り姫……か
金曜日、朝――。
俺が、いつものようにコンビニにいると携帯が鳴り、俺はズボンのポケットから、それを取り出した。
「ん?」
着信を確認する。それは、蒼空と怜未が共有する携帯からだった。
「怜未か?」
俺は電話に出ると、そう訊く。この日は、怜未の日。しかし、携帯から聴こえたのは――
『松名さまで、いらっしゃいますか?』
と、重厚な沢渡さんの声だった。
「沢渡さん……どうしたんですか?」
『はい、お嬢さまは、朝から熱がございまして……。今日は大事をみて、休ませていただくよう、只今、担任の先生にもご連絡いたしました』
「熱……ですか?」
『ええ、ですが……左程、ご心配なさりませぬよう。慣れない環境での生活に際し、風邪でもお召しになったものかと存じます』
「そうですか……じゃあ、ゆっくり休んだ方がいいですよね」
『はい。では、その様なことと、ご承知ください。では、失礼して――』
沢渡さんとの通話は、それで終わった。