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その恋を残して
第7章 眠り姫……か
※ ※
さて、勢い家を飛び出してはみたが、果たしてどうしようか。
当面、蒼空たちの家まで行く手立てがない。強い思いがあるなら走ってでも行けよ――と思われるかもしれないが、それは現実的ではなかった。直線距離にして十キロ以上、しかも上り勾配ときている。
自転車も持っていないし、田舎故にバスや電車もそう都合良く走ってくれてはいない。
と、なれば――俺は携帯を取り出した。
十五分後――。
一台のバイクが、俺の前に停まる。
「来てやったぞ。せっかくの休みの、早朝からな」
ヘルメットを取った田口は、迷惑そうな顔をしていた。
「いや、ホント悪い」
「まあ、乗れよ」
田口に渡されたヘルメットを被り、バイクの後ろに乗る。