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その恋を残して
第7章 眠り姫……か

「誠二さまに命じられておりまして……申し訳ございませんが、中にお通しすることは叶いません」

 沢渡さんは、静かに言う。俺を見据えた表情に、疲れを滲ませていた。

「今、彼女は――?」

「未だ眠りの中に……」

 つまり、蒼空が眠りについてより一日半が経過している。その間、蒼空としても怜未としても、一度も目を覚ますことをしてないのだ。

「お願いします。蒼空に――怜未に――逢わせてください」

「……」

「俺――沢渡さんが、ずっと二人の心配していたのを知ってました。それでも、何も言わずに俺たちのことを見守っていてくれた。それなのに、こんなことになって……。でも、俺は真剣なんです。俺なりに本気で蒼空と怜未のことを想っていて――正直、俺に何ができるのかわかりません。だけど、お願いします……二人に逢わせてください」

 俺は沢渡さんに頭を下げた。無意識に両手をギュッと握り締め、そのまま頭を下げ続けていた。すると――

 ガチャ。

 扉が開く音がして、俺は顔を上げる。

「……お入りください」

「沢渡さん――ありがとうございます」

 俺はもう一度、深々と頭を下げた。

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