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その恋を残して
第7章 眠り姫……か

「キミは――!」

 誠二さんは部屋に入った俺を見て、唖然とするが――

「――一体、どういうつもりだ?」

 そう口にしながら、すぐに厳しい表情で睨みつけた。

「すいません、俺――」

 そう言いかけながら、しかし、俺の視線に飛び込んだのは眠ったままの――

「オイ! 待つんだ」

 立ちはだかる誠二さんの横をすり抜けるようにして、俺はベッドの傍らに立った。

「――!」

 そこには、静かに寝息を立てている――『蒼空』の姿がある。

「……ただ眠っているようにしか見えないだろ? だが、起きないんだ。身体を揺すっても――蒼空の名を呼んでも――怜未の名を呼んでも――一体、今の彼女は蒼空なのか怜未なのか――それとも、どちらでもなく、只――その身体が眠っているだけなのか――」

 俺の横に立ちながら、誠二さんは疲れた顔をして、そう呟いていた。


「蒼空……ですよ」


 と、俺は言い。


「なに……?」


 誠二さんは驚いた顔で、俺を窺う。

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