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その恋を残して
第7章 眠り姫……か

「今、寝ているのは蒼空――怜未ではなく、どちらでもない訳でもない」

「どうして――何故、キミに、そんなことが言えるんだ?」

 興奮を顕にしてそう訊く、誠二さんを――

「俺には――わかります」

 俺は、真っ直ぐに見据えていた。

「……………………」

 どれ位の時間だっただろう?

 誠二さんは、様々な感情でその表情を変えながら、俺を見続けていた。それから、フウと大きなため息をつく。

「眠り姫を起こすのは、王子様の役目だったね。確かに、僕じゃ役不足かもしれない……」

 そう言った誠二さんは、自嘲気味に笑う。

「誠二――さん?」

「ほんの、独り言さ。三十分だけだ――キミに、時間をあげよう」

 そう言い残して、誠二さんは部屋を出て行った。

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