この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その恋を残して
第7章 眠り姫……か
「今、寝ているのは蒼空――怜未ではなく、どちらでもない訳でもない」
「どうして――何故、キミに、そんなことが言えるんだ?」
興奮を顕にしてそう訊く、誠二さんを――
「俺には――わかります」
俺は、真っ直ぐに見据えていた。
「……………………」
どれ位の時間だっただろう?
誠二さんは、様々な感情でその表情を変えながら、俺を見続けていた。それから、フウと大きなため息をつく。
「眠り姫を起こすのは、王子様の役目だったね。確かに、僕じゃ役不足かもしれない……」
そう言った誠二さんは、自嘲気味に笑う。
「誠二――さん?」
「ほんの、独り言さ。三十分だけだ――キミに、時間をあげよう」
そう言い残して、誠二さんは部屋を出て行った。