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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね
「では――怜未の、ことは?」
俺はぐっと言葉に詰まり、それから――
「……わからない」
と答え、思わず視線を地面へと落とす。
そう――結局、怜未のことを避け続けるなんて無理なこと。その現実を、蒼空自身から突きつけられて、俺はどんな顔をしたらいいのかもわからなかった。
「ごめんなさい。私……意地悪ですね」
「蒼空……」
やや間を置き、蒼空は俺にこんなことを聞かせる。
「松名くんも聞いている通り。一日に一回――私と怜未は、話をすることができます」
「ああ……眠りにつく前、蒼空と怜未が入れ替わる時だね」
「はい、そうです。その時に、私たちがどんなことを話すかわかりますか?」
「その日にあったこととか、次の日の予定とか――なのかな?」
「それもありますけど、知識や情報の一部は自然と共有していますから。ですから、主に話すことはお互いの一番、知り得ない部分になります」
「それは、なに?」
「感情です」
「…………」