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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね

「何が嬉しかったとか。その時、どう感じたとか――私たちは、ずっとお互いの感情を語り合ってきたのです。でも――今の学校に来てからは、違っていました。きっと、松名くんに出逢ってから――」
「!」
「いえ、初めからそう思った訳ではありません。怜未は元々、私に対して遠慮した処がありましたから。でも、私が松名くんを好きになるほどに――怜未は、自分の感情を話さないようになりました。私はそれが哀しかった。だから、松名くんにあんなことを言ったのです」
あんなこと――そうか。
「怜未に『好きだ』――と言ってほしいと」
コクリ――蒼空が頷いた。
「私と怜未は二人で一人――それは私が本心で願ったことでした。でも、その後……私の中に芽生えたのは、その願いと矛盾するものでした」
芽生えたもの――それは、誠二さんが言っていた『嫉妬』なのだろう。自分を責めるように赤裸々に告白を続ける蒼空――。その身体は小刻みに震えている。
「蒼空、もういい。気がつかなかった俺が悪いんだ。だから――」
「お願い――最後まで、言わせてください」
蒼空の瞳には、強い決意が宿っているように感じた。

