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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね

    ※    ※


 夜になり、誠二さんは自宅へ帰って行くことになった。

「蒼空、本当に大丈夫なんだね?」

「はい。義兄さん……心配をおかけして、すみません」

「いいさ。何か不安を感じたら、すぐに僕を呼ぶんだよ」

「ありがとうございます。でも、今日は松名くんがいてくれるから……」

 そんなことを言って、赤面する蒼空。

 その様子を見た誠二さんは、険しい顔で、俺の方に詰め寄り小声で言う。

「いいか、くれぐれも言っておこう。僕の義妹(いもうと)に、手を出すな」

「な……何もしませんよ」

 慌てる俺を、誠二さんはジロッと見つめると――

「気にするな。言ってみたかっただけだから」

 その言葉とは裏腹に面白くなさそうに言うと、家を出ていった。

「お義兄さん、何と言ったのですか?」

「いや、ヨロシクって感じで……」

 と、俺は誤魔化して言う。

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