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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね

 誠二さんが、ああ言ったことには一応の理由がある。実は今夜――俺は、この家に泊まることが決定しているのだ。そして、それを提案したのは意外なことに、沢渡さんであった。

 もちろん、その気持ちはわかる。沢渡さんにしてみれば、再び蒼空が眠ったままになりはしないかと、心配するのは当然だろう。それで、万一の為、俺が蒼空の側で眠ることを提案したのである。

 誠二さんは反対していたが、蒼空のことを心配する気持ちは同じ。渋々、了承し、それでさっきのセリフとなった訳だ。

 そんなことを唐突に提案され、俺が喜んでる――と考えるのは思い違いである。はっきり言って困惑していた。しかし、蒼空が心配なので、もちろん快諾した訳だが……。

 別に他意がないことは、言うまでもないこと。

「松名さま。ご自宅の方に、御連絡をいたしませんと――」

 沢渡さんが言う。

「あ、じゃあ――」

 俺が携帯を取り出すと――

「どうか、私にさせていただけますよう。これでも一応は、蒼空さまの保護者の立場ですので」

 神妙な面持ちで、沢渡さんが言った。

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