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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね
仮にも高校生の男女を一緒に寝かせる(?)――そんなことを進言した自分に責任を感じているのだろう。
沢渡さんは、実直な人である。俺が自宅の番号を教えると、沢渡さんは緊張気味に電話をした。しかし、ものの三十秒で話は終わったようである。やや拍子抜けしたような顔をしている沢渡さん。
「あっさりしてるでしょ。ウチの親」
俺が、そう言うと――
「全くですな。あ、これは失礼――大変、寛大なお母様で……」
沢渡さんが珍しく言い淀んだのを見て、俺は密かにほくそ笑んだ。すると――次の瞬間に今度は俺の携帯が鳴る。母親からのメール――それを見る。
『頑張りなさい!』
何をだよ! 俺は内心で激しくツッコんでいた。これを寛大とは良く言ったものである。
そんなことは、さておき――俺も、そして恐らく蒼空も緊張している。それは一緒に一夜を過ごすからではない。俺たちが気に留めるのは、もちろん怜未のこと――。
果たして、今夜――怜未は本当に、現れてくれるのだろうか?