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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね
※ ※
日曜日の午前中の駅前通りを、俺と怜未は並んで歩く。
怜未が言った『デート』という言葉が、にわかに俺を緊張させる。それっぽい場所には来たものの、一体どう過ごせばいいのか皆目見当もつかないのだ。暫く、そんなことを考えながら歩いていると――
「なーんか、松名くん、つまらなそう」
怜未がプウと頬を膨らませていた。
「いや、違うんだ。どうしたら怜未が楽しいのかって考えてて――俺、こういうの慣れてないから……」
「私だって同じだよ。でも、そんなに難しいことじゃないと思うんだ。例えばさ――」
怜未は、徐に俺の手を握り――
「どう?」
と、俺の顔を覗き込んだ。
「どう……って?」
「楽しくない? 私は、とても楽しいよ」
そう言って怜未が無邪気に笑のを見て、俺は肩の力が抜けていった。