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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね
夕暮れの中、街中を抜け俺たちは長い一本道を歩いていた。それは何もない田舎道である。
「沢渡さんに、迎えに来てもらう?」
俺が訊くと――
「もう少し――歩くのが嫌になるまでは歩こう」
怜未は、そんな風に答えていた。
程無く進んだ所に、小さな鳥居を見つける。俺たちは無言のまま、どちらからという訳でもなく、その小さな神社の境内に入って行った。
「ここ、初めて来たな……」
俺は足を止め、辺りを見回した。そこには俺たちの他に誰もおらず、空気が張りつめたように静まり返っている。ザワザワ――時に吹いた風が木々を揺らす音だけが耳に届いた。
「怜未――?」
気がつくと、怜未は俺に向かい合って立ち、その顔を俯いていた。