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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね
『怜未――ごめんなさい。私……』
『蒼空が謝ることなんて、なにもない。蒼空には感謝しても、しきれないくらいだから』
『それは、私も同じなの。怜未がいたから、私は生きて来れた』
『でも――蒼空は、もう大丈夫だよ』
『どうして――そんなことを言うの?』
『今――蒼空には、松名くんがいてくれるから……』
『怜未……』
『蒼空は私に、半分の刻をくれた。そのおかげで私も、恋をすることができたんだ。だから、もう……』
『怜未、どこにも行かないで! ずっと、私たちは一緒でしょ?』
『このままじゃ駄目……きっと、私だっていつか松名くんを、独り占めしたくなるわ』
『…………』
『だから、あと一日。一日だけ、私に頂戴』
『一日、だけ……?』
『私の恋の結末――それを、私は知りたいと思う。そして、恋の終わりを合図として、私は蒼空から旅立つの……』
『怜未……怜未……』
『蒼空、泣かないで――私の恋と蒼空の恋が一つになるの。それは、とても素敵なことだよ』
『もし――恋が終わらなかったら? そこから始まるかもしれないでしょ?』
『それはないの。松名くんは蒼空が好き……でも、もしそうだったら私……』