この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
その恋を残して
第2章 好きでは、ないから……

 俺が梱包をやり直しているのを、オバちゃんはジッと眺ている。しかし、暫くして納得がいったのか、工場の奥へ去って行った。その姿を横目で確認しつつ、俺は少しホッとしつつ作業を続けるのだった――。

 普段は気のいいオバちゃんだが、仕事のこととなると、そこは厳しい。まあ、当然であるのだし、これは確かに責められても仕方のない凡ミスである。

 『彼女』とは違うけど。心の中で、そんな言い訳だけすると、その後は気を引き締めて残りの作業をした。

「お疲れです」

「はい、ご苦労様。気をつけて帰りな」

「失礼します」

 バイトを終えると、外はもう暗くなっていた。

「!」

 頭にポツリと冷たいものが落ちる。どうやら、雨が降り出しそうだ。傘は持ってはいないが、家までは徒歩十分といった処だし、本降りになる前には帰れるだろう。俺はそのまま、足早に歩き始めていた。

 バイト中にも俺は結局、帆月のことを考えてしまっていた。現状で、俺に何かできることはないのだろうか? その答えを捜していたのだ。

 そして一つ、その答えらしきものを導いていた。それは、彼女に対して俺が意思を示すことである。俺は帆月蒼空を好きではない――そうはっきりと伝えることだ。

 それは、当初に考えた逆告白に立ち戻ると言うことになる。しかし、その意味合いは初めのものとは異なる。当初は単に自分の体裁の為に、誤解を解きたいとの考えであったのだが、現在は帆月の為に、それを行おうとしているのだ。

 何故、そういう結論に達したのか? それは、今日の保健室での帆月の言葉が決め手となっている。

 『一目惚れは困る』と、帆月は言った。それは、初日の言葉『私を好きにならないで!』と、関連しているのは明らに思える。

/184ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ