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その恋を残して
第2章 好きでは、ないから……
目的を果たせぬままに、今日も授業に身の入らない俺。そもそも、身の入る時があるのかと、疑念を抱かれても仕方がない。
またしても自然と、帆月の後姿を見てしまう。昨日は少しだけ、毛先が跳ねていた髪も、今日はストンと真っ直ぐに整っていた。そんな観察をしつつ、これからどうすべきか考える。
これ程、帆月のことで頭が一杯なら、いっそのこと逆告白じゃなく、本当の告白しちゃえばいいのではないか?
ブンブンと頭を振り、俺は自分の考えを打ち消す。すると――
「お前、何してんの?」
田口が、ジトッとした目つきで俺を見ていた。
「な、何って……お前こそ、今は授業中だぞ」
「終わったよ」
「あ……」
既に教師はおらず、教室内は休み時間の緩和した空気に満ちている。
「じゃあ、行くぞ」
「何処へ?」
「美術室だよ。寝ぼけてんのか?」
「あ、そうか」
確かに言われても仕方がない。上の空にも程がある。俺は自分の頬を軽く叩いた。
「さあ、行かなくちゃ」
そして何とか気を引き締めると、立ち上る。