この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
その恋を残して
第2章 好きでは、ないから……

 それを、疑わしく見ていた迫田先生は、後ろにいた二人に向かいこう言った。

「悪いんだが、コイツらと組みを変わってやってくれ。馬鹿二人だと進みやしねえんだ」

 それを聞いて、俺の心臓は、また脈打つ。それは――

「えー、描き始めてるのに」

 そう不平を洩らした木田が原因ではない。それは、もう一人の方――

「わかりました」

 そう答えて俺を見たのが帆月蒼空だったから。

「じゃあ俺、木田を描いてやるよ」

「もう、やり直しじゃん」

「そう言うなって。美人に描いてやるからさ」

 木田をなだめつつ、田口が素早く行動したのは、変な気を回したものと思われ――

「では、松名くん。よろしくお願いします」

 帆月が俺の前に座っていた。

 そんな流れで期せずして帆月蒼空を描くことになった俺は、妙な緊張を覚えながら、それでも何とかスケッチブックに向かう。

 そうしてようやく、集中し始めた頃。

「ヨーシ、それまで! 完成した者は提出。まだの者は明日までに描いてこいよ!」

 迫田先生は、そう言って授業を締めた。

「……」

 俺はまだ半分程しか描けていない絵を見つめる。絵は本来、得意な筈なのだが……。よく眺めていた後姿ではなく、正面に鎮座する帆月の方を正視することが、俺は殆どできなかった。

「松名くん。描けましたか?」

 帆月は立ち上がり、俺の絵を覗こうとする。慌てた俺は、それを両手で隠し――

「まだ全然。帆月さんは?」

 と、矛先を変える。

「私はもう諦めです。才能無いので、これで勘弁してください」

 帆月は照れながら、それでもピラッと自分の絵を俺に見せる。

 そこには、繊細なタッチで描かれた俺――だよな? 

「イヤ――巧いよ。似ているのかは、自分じゃ判断できないけどね」

 何か実物より五割増しくらいにしてもらってあるように思え、俺は恐縮する。

/184ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ