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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密
※ ※
「――!」
授業後のHRが終わってすぐ、真っ先に席を立ち教室を出て行ったのは帆月だった。それを見ていた俺は、考えるより先に立ち上がると続くように教室を出る。
早足に歩く帆月。その後を追いながら、声をかけるべきか俺は迷う。だが、そんなに急いで何処に向かっているのかが気になっていた。
女子の後を追う行為はストーカーを彷彿とさせ抵抗は生じている。だが、そんなことよりも、帆月が何をしようとしているのか知りたかった。
昇降口で靴を履き替え、帆月が向かった先は体育館の方向である。
何故、こんな場所に――?
帆月は体育館の裏手に、一人ぽつんと立ち竦んでいた。
俺は帆月に気づかれないように、体育館のグラウンド通用口の前に座る。帆月は誰かを待っているようだが。人気のない体育館の裏手。そんな場所なら、いくら俺でも察しがつくことがある。
だとすれば待っているのは誰か? そんな想像を働かせていると、俺の前を一人の男子生徒が通り過ぎて行く。確かコイツは、隣のクラスの内田。
サッカー部のレギュラーとして活躍していて、学業の成績も優秀。いわゆるイケメンで、女子にも人気が高い。別にひがむ訳でもないのだが普段から目立つ男なので、俺も一応は記憶していた。
内田は、座り込んでいる俺など気にもかけず、颯爽と体育館の角を曲がると帆月のいる裏手に向かって行く。
帆月は内田と会うために体育館裏に? そのことがショックだったからだろうか。俺は、帆月の後を追ったことを後悔する。そして、自分を嫌悪しつつ、その場を離れようと走り出していた。
しかし、ピタリと足を止めて俺は考えを巡らせる。